JA6YBR
50MHz帯ビーコンについて

JF6DEA & JA6YBR 運用チーム

Updated in July 2021

宮崎市のJA6YBRは、1985年から50MHz帯のビーコンとして試験電波の発射を開始し、
現在も運用を継続しています。  ここでは、JA6YBRビーコンの概要、沿革、これまでの
実績などについて紹介します。


***** 運用諸元 *****

1. コールサイン JA6YBR

2. 周 波 数 50.017MHz

3. 運用モード CW (A1/A1A)

4. 運用時間 原則として24時間

5. 運 用 地 宮崎市学園木花台・宮崎大学構内
東 経 :131°25' 38"
北 緯 : 31°49' 11"

6. グリッドロケーター PM51rt

7. 送信設備 インテリジェント・キーヤー搭載
自作 Power MOS-FET 2SK410×2

8. アンテナ
/高さ
/偏波面
/指向性
ターンスタイル・ヘンテナ
/海抜60m/地上高15m
/水平偏波
/全方向性

9. 送出メッセージ VVV VVV VVV DE JA6YBR MIYAZAKI
PM51RT トツー トトツー トトトツー トトトトツー
Rmks: "VVV" から "トツー" まで:50W
"トトツー":10W
"トトトツー":1W
"トトトトツー":0.1W

30分に1回、RFファイナルユニットの電圧(Vd)
と電流(Id)等を定時メッセージとして送出する。


10. 運用責任者 木 下 司 朗 (JF6DEA/KE1EO)

11. 受信リポート 受信されたら、クラスターへのアップをお願いします。

50MHzリアルタイム情報

受信リポートのあて先は以下のとおり。

E-mail: bcon(at)ja6ybr.org



***** 沿  革 *****

◆1983〜1985年前半頃:宮崎への50MHzビーコン設置構想浮上
当時、日本国内の50MHzビーコンは50.010MHzのJA2IGYだけであり、九州方面に対するコンディションの把握が容易でなかったことから、50MHzのアクティビティが高くなかった宮崎に、ビーコンの設置構想が浮上。

◆1985年11月3日:JA6YBR試験電波(ビーコン)の発射開始
JH6AVS 設計・製作の 送信装置(2SC2395×1)スクェアロー・アンテナ×2(地上高20/17m) により、周波数50.020MHz、出力10Wで宮崎市霧島の宮崎大学工学部構内の宮崎大学無線部からの運用を開始。

◆1986年7月25日:ビーコンの運用を一旦休止
宮崎大学の宮崎市内から南部郊外・木花地区への移転事業に伴う無線部室移転のため、ビーコンの休止に至る。

◆1986年9月15日:コールサインをJF6DEA/6に変更してビーコンの運用再開
設備一式を宮崎市本郷南方 (PM51ru) に移し、コールサインをJF6DEA/6に変更してビーコンの運用再開、送出メッセージを “VVV DE JF6DEA/6 4501 PM51RU” に変更。

◆1987年9月23日:コールサインをJE6ZIHに変更
◆1987年10月16日:周波数変更のためにビーコンの運用を一時中止
◆1987年11月13日:周波数を50.017MHzに変更
サイクル22のコンディション上昇に伴い、同じ周波数のイギリスのビーコン (GB3SIX) との混信を考慮して、周波数を50.017MHzに変更し、運用再開。

この頃から、ビーコン装置の更新に向け、JH6AVS、JE1BMJ、JF6DEA の間で新たな送信装置の仕様について、 当時のパケットネットワークを使って意見交換が始まり、1989年5月の設備更新を目指して装置の製作に着手。

◆1989年5月3日:設備更新・JA6YBRのコールサインで運用再開
大学移転完了に伴い、設備一式を更新 し、運用地を宮崎市学園木花台の宮崎大学構内 (PM51rt) に移してJA6YBRのコールサインに復帰し、ダイポール・ターンスタイルにより運用再開。

◆1990年5月3日:ターンスタイル・ヘンテナにアンテナ変更
台風などの強風に耐えられるように、アンテナを、より風圧面積が小さいターンスタイル・ヘンテナ(JH6AVS製作)に変更。

◆1993年9月6日:アンテナ倒壊・ビーコン運用一時中止
「平成5年台風13号」の暴風によりアンテナが損壊。 このためビーコンの発射を一時中止。

◆1993年9月23日:暫定的にダイポールアンテナを設置し、運用再開
◆1993年11月6日:高耐風アンテナに変更
台風などの過酷な天候にも耐えられるよう、高耐風タイプのターンスタイル・ヘンテナ(JI6KGZ 製作) に変更。 また、CPU部のバックアップ電源として、無停電電源装置(JH6EBR製作)を設置。

◆2009年8月22〜23日:ハムフェア2009にブース出展
東京・有明のビッグサイトで開催された 「ハムフェア2009」にブースを出展 し、ビーコンの概要、沿革、これまでの活用実績などについて広く紹介した。

◆2010年2月6〜7日:設備のメインテナンス
本格運用以来、初めてのメインテナンス。 同軸ケーブルの交換及び設備の清掃を実施したが、出力変化 (50W > 10W > 1W > 0.1W) のリレー接点の不具合と思われる症状により、暫くの間 1W と 0.1W の信号が出なかった。

◆2012年3月9日:設備改修のため一時運用停止
ビーコンの設備改修のため、3月9日 18:45JST に停波。

◆2012年4月12日:設備改修が終わり運用再開
RF 送信ユニットを新たに製作したビーコンの 3代目送信装置 に取り替え、4月12日 13:50JST に運用再開。

以降、現在に至る。



***** 設 備 写 真 *****

◆3代目送信装置全景(2012年4月12日〜)
一部の皆さんには懐かしい TRIO TS-520X の筐体に収めた3代目送信装置。 DC 電源を搭載、ファイナルを Power MOS-FET にして、安定度の向上を図った。  制御部は2代目のものをそのまま流用している。

◆3代目送信装置ブロックダイアグラム
-30℃〜60℃の範囲内で +/- 0.1ppm 以下の抜群の安定度を保つ Poco型発振器からバッファ・アンプを通して 2SK409 のドライバー、そして ファイナルは 2SK410x2 という構成。  50/10/1/0.1W のパワーコントロールは、CPU により Pin タイプのアッテネータを制御している。 今回は、ファイナルの過電流と RF パワーの反射が、それぞれ一定以上になると自動的に出力を 8dB 下げる保護回路を追加した。

◆制御部
2代目送信装置のものを流用。 JE1BMJ 設計・製作による制御装置。 Z-80 CPU を搭載しており、これにより4段階出力可変制御やファイナルの電圧・電流検知、定時テレメトリの送出を実現している。  6桁のディスプレィ(中央部に 縦に設置)には,送信内容が常時表示される。

◆3代目送信装置送信部
JH6AVS 設計・製作による RF ファイ ナルユニット。  Power MOS-FET 2SK410x2 の設計により、ビーコンにおける余裕ある 50W 連続運用を可能としている。

◆アンテナ
JH1FCZ 考案のヘンテナを組み合わせてターンスタイルにしたもので、JI6KGZ の製作。 マストと水平エレメントは、故JA5GJNの遺品。 アンテナは3階建てのサークル塔の屋上に設置しており、地上高 15m、全方向性・水平偏波を指向している。  ヘンテナについては,アメリカ ARRLの "The ARRL Antenna Compendium vol.5" 誌上で,このアンテナも含めて紹介されている。



***** そ の 他 の 写 真 *****

◆2代目送信装置全景(1989年5月3日〜2012年3月9日)
右の VSWR 計の後ろの筐体が JH6AVS と JE1BMJ 共作による送信装置。  搭載したインテリジェント CPU により 50/10/1/0.1W の4段階出力可変制御をはじめ、定時テレメトリの送出などの機能がある。  中央部には送出メッセージが文字となって流れる。 1989年以来運用継続中。 左の安定化電源の上のアルミ筐体は、JH6EBR 設計・製作の CPU バックアップ電源装置。

◆2代目送信装置ブロックダイアグラム
-30℃〜60℃の範囲内で +/- 0.1ppm 以下の抜群の安定度を保つ Poco型発振器からバッファ・アンプを通して 2SC2395×2 のドライバー、そして ファイナルは 2SC2290プッシュプルという構成。  パワーコントロールは、CPU によりアッテネータを制御している。

◆2代目送信装置送信部
手前から,制御 ユニット,発振・アッテネータユニット,そして RF ドライバ・ファイナルユニット。
JH6AVS 設計・製作による RF ファイ ナルユニット。  2SC2290 プッシュプルの設計に より,ビーコンでの 50W 連続運用を可能として いる。


◆ハムフェア2009出展
東京・有明のビッグサイトで開催された「ハムフェア2009」にブースを出展し、ビーコンの概要、沿革、これまでの活用実績などについて広く紹介した。  2日間で100名以上の方々にブースにおいで戴き、様々な意見交換などができた。

◆運用開始直後の初代送信装置
1985年11月の運用開始直後の送信装置(左下のアルミ筐体)。 JH6AVS の製作で、2SC2395 シングルの定格 10W 出力であったが、周波数・出力ともに安定度が不足していた。 右上の RJX-610 はビーコンモニター用、 その上の青いキーボードは、AC100V電源だった 8GEM 製のメモリ・キーヤー。 当時の送出メッセージは "VVV de JA6YBR JA6YBR 4501 K"。 レジューム機能がなかったので、停電の度にメッセージが「暴走」した。(1986年初期の写真)

◆運用開始直後のアンテナ
宮崎市霧島の宮崎大学工学部構内(電気工学科棟)の4階建て屋上に設置したスクェアロー・アンテナ×2(地上高20/17m)。 当初から「水平偏波・全方向性」のコンセプトとし、 当時はこのアンテナを採用した。(1986年初期の写真)



***** 諸 実 績 *****

◆活用事例
 当初は、アマチュア無線の50MHz帯における電波伝搬把握の目的で運用を始めましたが、今となってはさまざまな形で活用されています。
  • 異常伝搬検知(マルチホップを含むスポラディックE、流星散乱、スキャッター、F2伝搬など)
  • 定常伝搬におけるコンディション評価(グラウンドウェーブ、山岳回折などのコンディション把握)
  • 移動運用地におけるロケーション評価
  • アンテナ、受信機等、受信システムの性能評価
  • 流星観測におけるHRO (Ham-band Radio Observation) 局
  • 地震予知研究 など

◆紹介実績
  • US-CQ 1988年8月号 p.98 “VHF”コラム
  • QST(ARRL機関誌)1995年7月号 p.99 “The World Above 50MHz”コラム
  • モービルハム 1989年12月号 p.96〜97
  • CQ ham radio 1999年5月号 p.183
  • ARRL Antenna Compendium Vol.5 (1996) など

◆主な受信実績(DX SCAPEのウェブサイトなどから抜粋)
大 陸 受信局 受信地 受信年月日 受信時刻
(UTC)
備 考
ヨーロッパ OH6WW フィンランド 2012年6月28日 23:56 スポラディックEのマルチホップ?
IK8DYD イタリア 2018年7月9日 06:43 スポラディックEのマルチホップ
北 米 W7/VE7CDX Nevada州 2009年8月15日 00:06 スポラディックEのマルチホップ
K0HA Neblaska州 2008年7月31日 22:31 スポラディックEのマルチホップ
NL7Z Alaska州 2006年6月6日 05:19 スポラディックEのマルチホップ
KE7NS Utah州 2002年1月2日 23:37 スポラディックEのマルチホップ?
南 米 CE3SAD チ リ 2002年10月9日 02:16 F2伝搬
PY2XB ブラジル 2002年3月27日 03:16 F2伝搬
LU5FF Argentina 2014年3月16日 03:25 F2伝搬
アフリカ JH8PHT/CN モロッコ 1994年3月4日 00:30 F2伝搬のロングパス

ア ジ ア: 中国(BY)、台湾(BV)、香港(VR2)、アジアロシア(UA0)、韓国(HL)、カンボディア(XU)、ミャンマー(XY)、西マレーシア(9M2)、ベトナム(3W) などでの受信実績あり。
オセアニア: ハワイ(KH6)、グアム(KH2)、フィリピン(DU)、インドネシア(YB)、オーストラリア(VK)、ニュージーランド(ZL)、東マレーシア(9M6)、クック諸島(E5)、クリスマス島(VK9X) 、トンガ(A3) などでの受信実績あり。

JA6YBR
JA6YBRを受信されたら、クラスターへのアップをお願いします。

50MHzリアルタイム情報



***** 各 地 で の 受 信 音 *****

◆2代目送信装置の受信音
受信地 ファイル形式
(ファイルサイズ)
備 考
宮崎市
(1139kB)

(132kB)
1シーケンス
VVV VVV VVV de JA6YBR MIYAZAKI
PM51RT .- ..- ...- ....-
(JH6VZS提供)
鹿児島市
(1061kB)

(126kB)
1998年頃、モービルホイップで
地表波を受信
東京都
杉並区

(143kB)
- 2009年8月 8el で受信
スポラディックEによる伝搬
(JP1LRT提供)
小笠原諸島
父島

(1620kB)
- 2009年6月 5el で受信
スポラディックEによる伝搬
(JL2KJK/JD1提供)
カンボディア
Sihanoukville

(311kB)
- 2002年10月27日
6el HB9CV で受信
XU7ACD 提供)
ミャンマー
Yangon

(294kB)
- 2003年1月25日
4el HB9CV で受信
XY6J 提供)

◆初代設備の受信音
受信地 ファイル形式
(ファイルサイズ)
備 考
福岡市
(576kB)
- 1シーケンス
VVV de JA6YBR JA6YBR 4501 K
1985年10月に 5el で地表波を受信


【謝 辞】
 1985年から継続運用しているJA6YBRの運用にあたり、ビーコンの設置・維持に尽力を賜ったJH6AVS、JE1BMJ、JI6KGZ、JH6EBR、JH6VZS、JP1LRTなどをはじめ、 技術的助言や支援を戴いている KSSG (Kyushu Six-meter SSB Group) の皆さん及びJA6YBR-OB諸兄、そしてJA6YBRをご愛顧戴いている全ての皆さんに感謝します。


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