Report 28b

水上交通を楽しむ
〜センセーブ運河 水上バス編〜
 さて次のステップ,ちょっとノウハウが要る水上バスに挑戦です。 バンコク市内には多くの運河が存在しますが,現在,定期航路としての水上バスは3つあります。  ここでは,センセーブ運河から郊外のバンカピまでの路線を例にご紹介しましょう。
  
バンコクっ子の足,センセーブ運河の水上バス

 このセンセーブ運河の水上バスは,観光客向けというよりは地元の通勤通学や買い物などの足として利用されており,基本的に毎日明るい時間帯(概ね 5:00〜19:30 頃)に運行されています。  平日朝夕のラッシュ時には頻繁に,昼間は10分おき程度に運行されているようです。 まぁバス同様時刻表なんてありませんから,船着場では船が来るのをひたすら待つのみです。  船の係員には英語は殆ど通じません。 船内で切符を買う時に何処まで行くのか目的地(降りるところ)を伝える必要があるため,若干のタイ語が必要。 また, 船着場まで/からのアクセスも自分で確保する必要があるため,土地勘も要求されます。 このページは,ある程度バンコクの事情を理解されている方を対象にご紹介しますので, ちょっとわかりにくい部分もあるかと思いますが,ご容赦下さい。 このページに書いてあることが理解できれば,水上バスを利用することは可能でしょう。  我と思わん方は(もちろん自己責任において!)お試し下さい。


セントラル・ワールド・プラザ(旧ワールド・トレード・センター)
近くのプラトゥナーム船着場
 この航路はバンコク市内のほぼ中央部を東西に流れるセンセーブ運河を走り,エカマイ通りの東からラムカムヘン通り沿いに北東に向かい, バンコクの郊外のバンカピという街が終点です。 このルート沿いの主要な場所に船着場がありますが,比較的利用しやすいのは次の船着場です。

・プラトゥナーム船着場
 セントラル・ワールド・プラザ(旧ワールド・トレード・センター:ISETANが入っているショッピングセンター)の前のラチャダムリ通りを北進,運河を渡る橋手前のすぐ脇(東側)。  東向き(アソーク,バンカピ方面)の船にここより西で乗った場合,すべての乗客はここで降りて船を乗り換えなければならない。 (西向きは乗ったことがないのでわかりません。 スミマセン)

・アソーク船着場
 日本大使館からアソーク通りを渡ったところの船着場。 ここではスクンビット方面行きの38番や98番のバスで BTS にアクセス可。 2004年に開通する地下鉄の駅も近い。

・トンロー船着場
 スクンビット55のトンロー通りの橋の脇(北東側)。 スクンビット方面には,船着場から橋を渡った側から赤いトンローバスで BTS トンローまでアクセス可(1人3バーツ)。

 プラトゥナーム以外の船着場は,運河の片側に一つしか乗り場が無く,両方向(東向き,西向き)とも同じ桟橋に発着しますので,注意が必要です。

 水上バスの乗り方は,エアコン無しの路線バスの乗り方(こちらで紹介)と同様で,乗りたい方向の船が来たら手を水平に出して乗船意志を示します。  船が桟橋に着くと,空いたところから素早く船に乗り込みます。 要領がわからなかったら桟橋で1〜2本船を乗り過ごして,乗船要領を観察してみましょう。


桟橋に「接岸」している時間は短いので,船の乗降は素早く!
 さぁ,船が来ましたよ。 チャオプラヤ・エクスプレス同様,船が桟橋に近づくタイミングを見て船に乗り込み,空いてる席に座ります。  降りる船着場の桟橋がどっちの岸にあるか判っていれば,降り口に近い方に座っておくと,降りる時にラクです。

船内の様子 左の立ってる係員は車掌ならぬ「船掌」,青いビニールは日除け+飛沫よけ
 船の両側にある青いシートは日除け+飛沫よけで,普通運航中は下げていることが多いようです。 まぁ考えてみればそうでしょうね,いつも乗り飽きている地元の人は, 別に外の景色を楽しもうなんて考えないでしょうから。 従って水上バスから運河の風景をジックリ見るのは,チョット難しいかもしれません。

 暫くすると,シートの外から車掌ならぬ「船掌」が手を伸ばして料金を徴収に来るので,行き先をタイ語で告げ,料金を払います。 行き先を言って(といっても, これがなかなか通じないんだなぁ...)20バーツ紙幣を出せば,切符と一緒にお釣りをくれます。 小学生くらいまでの子供は無料のようですが,これもバス同様,そのときの「船掌」の気分次第です。


「パイナイ(どちらまで)?」にタイ語で答えて料金払い(左) 切符(右)を貰う
プラトゥナーム〜アソークは一人9バーツ
 自分が降りるところが近づいてきたら,船内天井に這わせてあるロープを引けば,運転手に伝わる仕組みになっています。 ごそごそ荷物集めて降りるふりして, 周りの人にどっち(右 or 左)かを身振り手振りで聞けば大抵は教えてくれ,通路や席を空けてくれます。 この降りる時の「テクニック」も船内でマスターして下さい。

トンロー船着場(橋の向こう)とトンロー通りの運河の橋
 水上バスでは外国人の姿はあまり見かけませんので,我々が乗り込むと結構好奇の眼で見られます。 ウチの場合なんか3人の子連れなので,余計目立ったりして...。

 水上バスは渋滞の影響を受けることがないので,船着場での待ち時間を考慮すればバスやタクシーよりも確実に目的地に着くことができます。 そのせいか, 平日の朝夕は通勤・通学の人たちで結構賑わっています。

 しかし,そんな水上バスでも弱みがあります。 雨季の終盤などに豪雨に見舞われると運航できなくなるのです。 運河の水位が上がって船が橋の下を潜れなくなる, 2001年10月には実際に水上バスが運休した日がありました。

 ちょっとドブ臭い芳香が漂い,見え隠れするバンコクの庶民の生活を目の当たりにできる水上バス,ちょっと「上級者」向けではありますが,バンコクリピーターのあなた, 次に機会に挑戦しては如何?(2003年12月記)