July 2015

2015年
7月5日
(日)
【始動!博多祇園山笠2015】
 今年もこの時期です。 本サイトが年に一度「真剣」に取材に取り組む(笑)、博多祇園山笠の幕開けです。

 街のあちこちには「博多祇園山笠」の銘が入った提灯がお目見えし、山笠の「正装」で正装である法被の姿を見るようになりました。

 今年も、東は博多区の千代から、西は早良区北部・福岡ヤフオクドームの前まで、福博の街の至るところに、十四本の飾り山が登場しています。

 例年どおり編集部の総力を結集して、博多祇園山笠を取材していきます。 今年も飾り山は、順不同で紹介していくことにしましょう。  また敬称略ではありますが、昨年に引き続き、それぞれの山を作られた人形師さんのお名前も載せることにします。

*****【飾り山十七番山笠 渡辺通一丁目】*****
〔表標題〕 至心一至和平基
(ししんいっとうわへいのもとい)
【人形師:中野親一】
〔見送り標題〕 愛と勇気のアンパンマン
(あいとゆうきのあんぱんまん)
【人形師:中野 浩】

 街中で見られる飾り山のうち、南西端に位置する渡辺通一丁目は、今年は十七番山笠です。 表は大阪の陣の和平に貢献した木村重成を題材にしたもの。 今年の見送りは、元気一杯のアンパンマンです。

*****【飾り山二番山笠 東流】*****
〔表標題〕 義経千本桜
(よしつねせんぼんざくら)
【人形師:室井聖太郎】
〔見送り標題〕 松囃子稚児舞楽
(まつばやしちごぶがく)
【人形師:室井聖太郎】

 博多駅からサンパレス方面に伸びる大博通沿いに置かれている東流の飾り山。 今年の表は歌舞伎の名場面でお馴染みの義経千本桜。 見送りは地元の博多松囃子を題材に、稚児の舞を描いています。(1)


2015年
7月6日
(月)
【飾り山:千代流+天神一丁目】
 今日の福岡は、梅雨の合間の洗濯日和でした。 明日からはまた雨の予報が出ています。

 今年は飾り山をランダムにご紹介しています。 今日は天神の博多大丸・パサージュ広場の天神一丁目と、多くの観光客が眼にする博多駅の飾り山をご紹介しましょう。

*****【飾り山五番山笠 千代流】*****
〔表標題〕 奮戦真田丸
(ふんせんさなだまる)
【人形師:川崎修一】
〔見送り標題〕 決闘巌流島
(けっとうがんりゅうじま)
【人形師:川崎修一】

 最も東側、福岡県庁に近い千代町に飾られている千代流。 表標題は、大阪城の南側に出城「真田丸」を築いて徳川と戦った真田幸村・大助の父子が題材。 見送りは、佐々木小次郎と宮本武蔵が決闘した巌流島を舞台にしたもの。

*****【飾り山十六番山笠 天神一丁目】*****
〔表標題〕 美の国日本
(びのくににっぽん)
【人形師:中村信喬】
〔見送り標題〕 美の国日本
(びのくににっぽん)
【人形師:白水英章】

 天神で3つ見られる飾り山のうち、最も南の大丸デパートの広場で毎年見られる天神一丁目の飾り山。今年は表標題・見送り標題とも、10月から九州国立博物館で、開館10周年を記念して開催される「美の国日本」を題材に、二人の博多人形師が腕によりをかけて作り上げたものです。(2)


2015年
7月8日
(水)
【飾り山:博多駅商店連合会+新天町】
 今日の福岡は、短時間ですが久し振りに本格的な雨が降りました。 九州中部や伊豆大島などでは結構な雨が降っているようですね。 くれぐれもご注意下さい。

 今日は多くの人が行き交う博多駅と新天町の飾り山をご紹介しましょう。

*****【飾り山十番山笠 博多駅商店連合会】*****
〔表標題〕 関ケ原長政武勲の誉
(せきがはらながまさぶくんのほまれ)
【人形師:生野四郎】
〔見送り標題〕 サザエさん
(さざえさん)
【人形師:宗田智幸】

 陸の玄関口・博多駅の博多口に飾られている山です。 今年の表は、関ケ原の合戦で槍をふるう黒田長政。 見送りは野球を楽しむサザエさん一家です。

*****【飾り山十四番山笠 新天町】*****
〔表標題〕 竺紫乃雄盤井君
(つくしのゆういわいのきみ)
【人形師:亀田 均】
〔見送り標題〕 サザエさん
(さざえさん)
【人形師:亀田 均】

 天神の商店街・新天町の飾り山。 表は527年に反乱を起こした筑紫国造盤井の戦いをテーマにしたもの。 見送りは博多駅の向こうを張って(?)、こちらも夏祭りを楽しむサザエさん一家です。(3)


2015年
7月10日
(金)
【飾り山:中州流+博多リバレイン】
 昨日、今日は雨が上がって青空がのぞいた福岡。 今日は少し蒸し暑い1日でした。

 今日は、西日本最大の歓楽街・中州に飾られている中州流と、最近、高島屋が入った博多リバレインの飾り山を紹介します。

*****【飾り山三番山笠 中州流】*****
〔表標題〕 合戦三方原
(かっせんみかたがはら)
【人形師:三宅 隆】
〔見送り標題〕 決戦長篠城
(けっせんながしのじょう)
【人形師:中村信喬】

 中洲の北の方に飾られています。 信玄と家康の戦いを描いていますが、表は信玄が勝った三方原の合戦、見送りは家康が勝った長篠の合戦です。

*****【飾り山十五番山笠 博多リバレイン】*****
〔表標題〕 祝博多乃蓮獅子
(いわいはかたのれんじし)
【人形師:置鮎琢磨】
〔見送り標題〕 祭博多之七福神
(まつりはかたのしちふくじん)
【人形師:生野四郎】

 川端の明治通り沿いに飾られている博多リバレインの飾り山。 このエリアには舁き山の大黒流があります。 この大黒流、今年は7年に1度順番が回ってくる一番山です。  表は歌舞伎の蓮獅子を、見送りは七福神をテーマに、大黒流の一番山を祝っています。(4)


2015年
7月11日
(土)
【飾り山:福岡ドーム+川端中央街】
 博多祇園山笠では、このところご紹介している飾り山とは別に、街の中を走る舁き山があります。 この舁き山が昨日から動き出しました。 今朝の地元紙は、各流の様子を伝えています。

 今日は、飾り山の中で最も西に位置する福岡ドームと、川端商店街アーケードの中の川端中央街の飾り山を紹介します。

*****【飾り山九番山笠 福岡ドーム】*****
〔表標題〕 熱一心若鷹
(ねついっしんわかたか)
【人形師:置鮎琢磨】
〔見送り標題〕 合戦姉川勲
(かっせんあねがわいさおし)
【人形師:三宅 隆】

 野球の試合はもちろん、数々のアーティストも公演を行う福岡ヤフオクドーム。 ここの飾り山、今年の表はホークスの工藤監督をはじめ、選手やマスコットをテーマにしたもの。 見送りは信長・家康 vs 朝倉・浅井の姉川の合戦。  ここの飾り山の表は、例年「ホークスもの」です。

*****【飾り山十二番山笠 川端中央街】*****
〔表標題〕 真田十勇士
(さなだじゅうゆうし)
【人形師:中野親一】
〔見送り標題〕 ドラえもん
(どらえもん)
【人形師:中野 浩】

 表は大阪夏の陣で活躍した真田十勇士。 千代流 の表と共通のテーマです。 見送りはおなじみ、子供たちに人気絶大のドラえもんです。(5)


2015年
7月12日
(日)
【飾り山:上川端通+キャナルシティ博多】
 今日は公式行事として舁き山が登場する「追い山ならし」が行われました。 これは15日(水)の追い山の、いわば練習ラウンドで、各流が舁き山や舁き手の仕上がり具合をチェックする場でもあります。

 この日記で紹介している飾り山、今日は、固定の八番山・上川端通と、人気の大型商業施設キャナルシティ博多の飾り山を紹介します。

*****【飾り山八番山笠 上川端通】*****
〔表標題〕 鞍馬山
(くらまやま)
【人形師:田中比呂志】
〔見送り標題〕 政調博多節
(せいちょうはかたぶし)
【人形師:田中 勇】

 「走る飾り山」として、定番の八番山笠の地位をキープする上川端通の飾り山。 今年の表は鞍馬山の大天狗と源義経がテーマ。 見送りは博多の伝統芸能「博多をどり」を伝える券番の芸妓が祭を盛り上げます。

*****【飾り山十一番山笠 キャナルシティ博多】*****
〔表標題〕 名槍寿祝宴
(めいそうことぶきのしゅくえん)
【人形師:置鮎琢磨】
〔見送り標題〕 勇峰躍動勲
(ゆうほうやくどうのいさおし)
【人形師:置鮎琢磨】

 表は昨年の大河ドラマでも登場した、黒田二十四駒の一人・母里太兵衛と名槍・日本号をテーマにしたもの。 見送りは、福岡ドームの表 の向こうを張って、地元福岡のサッカーチーム「アビスパ福岡」の健闘をテーマにしたものです。(6)


2015年
7月13日
(月)
【飾り山:ソラリア+櫛田神社】
 毎年7月13日は、博多の祭である祇園山笠の舁き山が、一度だけ那珂川を渡って福岡(天神)の人々にその姿を披露する「集団山見せ」。 朝から降っていた雨も、スタートの頃には上がっていたようで、15日の追い山に向けて、いよいよ最後の追い込みです。

 街中で優美に見られる14の飾り山の紹介も、今日で最後です。 天神の商業施設・ソラリアの十三番山笠と、年中見られる番外・櫛田神社の飾り山を紹介します。

*****【飾り山十三番山笠 ソラリア】*****
〔表標題〕 風雲桶狭間
(ふううんおけはざま)
【人形師:置鮎正弘】
〔見送り標題〕 筑紫曙千三百五十年
(つくしあけぼの
せんさんびゃくごじゅうねん)
【人形師:小嶋慎二】

 表は、信長が今川義元と戦った桶狭間の戦いがテーマ。 見送りは1350年前に、水城や大野城を築いた天智天皇を描いたもの。

*****【飾り山番外 櫛田神社】*****
〔表標題〕 呑取名槍黒田誉
(めいそうのみとる
くろだのほまれ)
【人形師:亀田 均】
〔見送り標題〕 烟満国聖帝御世
(けぶりはくににみつ
ひじりのみかどのみよ)
【人形師:今井洋之】

 他の飾り山は、基本的に14日の夜中に披露を終え、取り壊されます。 しかし櫛田神社の飾り山は「番外」扱いで、これから来年の山笠シーズンまで常時飾られています。
 今年の表は、キャナルシティ博多の表 同様、黒田官兵衛の家臣・母里太兵衛が大盃の酒で槍を飲み取った場面。 見送りは、家から煙が見えるまでは徴税すべからずとの政策を唱えた聖帝・仁徳天皇をテーマにしたもの。

 残すは15日早朝の追い山になりました。 台風の接近が心配ですが、せめて追い山まではなんとか天気が持って欲しいものです。(7)


2015年
7月19日
(日)
【博多祇園山笠2015 総括】
 今年で 774年目を迎える博多祇園山笠。 15日(水)朝の追い山で無事に全日程を終えました。 今年は週末に時間が取れなかったのと、追い山の取材に行かなかったので、舁き山は全く取材できていません。 例年に較べて手抜きになってしまいました、スミマセン。

 それでは、本サイトではお馴染みの博多祇園山笠の総括をしましょう。

平成27 (2015) 年度 追い山総括
流 名標 題櫛田入
タイム
全コース
タイム
一番
山笠
大 黒 流降臨大黒天こうりんだいこくてん37秒1130分05秒
二番
山笠
東  流東風招春鏡獅子とうふうはるをまねく
かがみじし
31秒2228分39秒
三番
山笠
中 洲 流天下一武蔵てんかいちむさし35秒1534分19秒
四番
山笠
西  流趙雲子龍心如雪ちょううんしりゅう
こころはゆきのごとし
30秒7830分41秒
五番
山笠
千 代 流豪勇日本號之誉ごうゆう
にほんごうのほまれ
33秒8529分23秒
六番
山笠
恵比須流大鵬一擧九萬里たいほういっきょす
きゅうまんり
33秒4832分49秒
七番
山笠
土 居 流征夷大将軍頼朝せいいたいしょうぐん
よりとも
35秒8830分45秒
八番
山笠
上川端通表:鞍馬山くらまやま48秒53−−
見送り:政調博多節せいちょうはかたぶし

 今年は、朝のテレビ中継で追い山の様子を見ていました。 このところ数年は東流がいいタイムでしたが、今年は西流が櫛田入りでベストタイムを、また全コースでも 30分台の素晴らしいタイムを出しました。  まぁ、タイムがいいから賞品が出るとか表彰されるというわけではないのですが、山を舁く男達の結束の成果が出たのではないでしょうか。

 これまでの記録に興味がある方は 2013年の追い山のタイム2014年の追い山のタイム などをご覧ください。

 北部九州はまだ梅雨明け宣言は出ていませんが、山笠が終わった博多には本格的な夏がやってきます。(8)


2015年
7月26日
(日)
【「プラリバ」よ、ありがとう】
西新エルモール「プラリバ」
 福岡市の中心部から西方に位置する早良区西新。 西新商店街の東の端、昭和通と城南線の交差点の角に位置し、この地を代表するショッピングモール:西新エルモール「プラリバ」があります。

 1981年に再開発により建てられた商業ビルに西新エルモールが開業。 この当時のコア店舗は西新岩田屋でした。 しかし、この岩田屋も2003年に閉店。  その後を継いだショッピングモールが「プラリバ」でした。

 開店当初は、西新岩田屋の流れを考慮したのかミセス層をターゲットにしていたとのことですが、2006年のリニューアルで少し若い女性層向けの店舗を充実したようです。  現在では年齢層に関係なく、その名のとおり誰でもブラリと行けるような、気軽でヨカ雰囲気のショッピングモールでした。 この「プラリバ」が 7月31日(金)で店じまい、12年の歴史に幕を下ろします。

(左)西新商店街から臨む (右)地下鉄西新駅から直結の出入口

 このモールには、1フロア丸ごと店舗で品揃えは福岡でも指折りの 100円ショップ DAISO や、地元でも最も人気があった本屋の LIBRO、気軽に立ち寄ることができる UNIQLO や無印良品、  地下鉄直結で24時までオープンしている SUNNY 西新店などがあり、非常に「使い勝手」が良いお店でした。

 またローカルな店舗として、店舗面積の割には豊富な品揃えを誇る文具のマルマツや、できたてのお茶うけとして定評がある蜂楽饅頭など、地元っ子には根強い人気の店もありました。

 地元系の一部の店舗は近場で営業を継続するようですが、このモールが閉店することは、地元の皆さんにとっては大きなダメージでしょう。  とはいえ建物の老朽化は否めない事実で、「プラリバ」閉店後はビルを建替え、低層階はショッピングエリア、高層階はマンションになるそうです。

 岩田屋開店から34年、西新のエリアを支え、12年間楽しませてくれた「プラリバ」に感謝するとともに、残りの5日間の最後の賑わいを祈念します。(9)