Report 17

ワールドカップ特集
連日紙面を賑わせているワールドカップの結果

 日本と韓国ではワールドカップ 2002 の真っ最中,両国とも予選リーグを無事に(?!)突破しての決勝トーナメント行きに,国民の皆さんの多くは喜んでいることと思います。
このおネェちゃんも日本を
応援してくれてるのかなぁ?

 さて,こちらタイでのワールドカップの反響や如何に? 上に紹介するとおり,新聞各紙では毎日のように予想や結果が大きく報じられ, 中にはワールドカップの特集記事を別刷りカラー版で付けているスポーツ紙もあります。

 地元テレビでは全試合2局以上で完全生中継,夜は2時間程度の枠を組んで,その日の試合をダイジェスト。 ホテルやショッピングセンターなど繁華街のあちこちでは, 特別に予算を組んで大型のテレビモニターを設置し,平日はどうみてもまだ仕事中だろうと思われるような輩から,週末にはショッピングに来た家族連れやデート中のカップルなど, それはそれは大勢の人たちが画面の前に陣取って一喜一憂しています。

 日常の昼間でも,ちょっとした空き地では必ずと言っていいほど子供達がボールを蹴って遊んでいる風景を見かけるのは当たり前。 何を隠そう, タイではサッカーはムエタイ(キックボクシング)と人気を二分するほどにポピュラーなスポーツなのです。

 
日本-ロシア戦の下馬評(一番右)
 左は,予選リーグの日本-ロシア戦が行われた日の朝の新聞にあった記事です。 この日行われた他の試合も含めて,地元の「評論家」の下馬評が載っていました。  どうも日本はやや劣勢に見られていたようですが,結果は皆さんご存じのとおりでしたね。

  タイでは元々ムエタイ(キックボクシング)やセパタクロ(蹴鞠とバドミントンを合わせたような東南アジア固有のスポーツ)など足を使ったスポーツがありますので, 同じ足を使うスポーツとしてのサッカーに人気があることはうなずけます。 自国では大きな国際大会がなかなか開けないからというのもあるでしょう, ヨーロッパのプロリーグであるイギリスのプレミアリーグやスパニッシュリーグの公式戦を誘致しています。 とりわけ,プレミアリーグの人気が高いようで, リバプールやマンチェスターユナイテッドなどチームステッカーを貼っている車をよく見かけます。 また,こちらの地元の放送では, ムエタイと並んで,シーズンになると四六時中ヨーロッパリーグのサッカーの試合の模様を放送しています。

 
日本の勝利を報じる地元紙

 こういったお国柄のせいもあって,自国のチームが出場していないにも関わらず,タイの人々はワールドカップへの関心が極めて高いのです。 こちらで見ることができるNHKの海外向け衛星放送では放映権の都合 (自国以外では放映できない)で,オリンピック同様ワールドカップ関係の映像は一切見られないため,半ば諦めていましたが,地元テレビ(実況・解説はタイ語でしたが)のお陰で日本戦もオンタイムで見ることができました。 とはいえ,あまりの金額の高さに放映権の獲得には苦労したようで,結局は地元のビール会社を中心とする大企業が融資した形で獲得した模様です。 従って, 中継放送には必ずこのビール会社のCMなり,字幕なりが入ります。

 このように,タイでは居ながらにして全試合が見られるため,ヨーロッパやアフリカからのサポーター達の中にはタイを中継基地にして観戦している人たちも少なくないとか。  例えば,日程が7日あれば物価の高い日本や韓国には必要最低限の日程で出かけ,残りは安くあがるタイで過ごすというのがパターンのようです。 そのせいか,旅行代理店によると,ワールドカップが終わる7月初めまでバンコクのホテルは多くの宿泊客で賑わい,またタイ〜欧州間の航空便は満席の状態とのこと。  一見タイはワールドカップとは無縁のようですが,実際のところはしっかり潤っているようです。(2002年6月記)