Report 26a

タイ各地の気候
 前ページでタイの国土の広さと気候の違いについて触れました。 このページでは手元のデータを基に,それを実感してみましょう。 まずは, 「観測地点」を示します。
気候比較する観測地点〜チェンマイ,ウドンターニー,バンコク,チュンポン,
そしてマレーシアではあるがタイ国境に極めて近いコタバルのデータを抽出

 タイの広い国土から,北部代表でチェンマイ,東北部からは隣国ラオスの首都ヴィエンチャンに近いウドンターニー,中部は首都バンコク,中南部はチュンポンを,そして南部からは, タイではありませんが,タイ国境に極めて近い隣国マレーシアのコタバルをそれぞれ「選出」しました。

 まず,5つの地点の年平均気温を比較してみましょう。

年平均気温
[℃]
チェンマイウドン
ターニー
バンコクチュンポンコタバル
26.026.828.427.126.7

 ありゃ,バンコクが一番暑いじゃないですか! チェンマイやウドンターニーは北に位置することもありますが,海抜が高い〜チェンマイ:314m,ウドンターニー:182m〜こともあって,平均気温が低いのでしょう。  また,チュンポンやコタバルは赤道に近いにもかかわらず,海の影響により気温が上がらないと考えられます。 バンコクは海抜が殆どゼロ (20m),海に面しているとはいえ「内海」であり,その海も陸同様暖められ,海水の入れ替わりが殆ど無いのですから,平均気温が高いのは頷けます。 恐らくこのような自然の条件に加えて, 人口が集中していることによる「ヒートアイランド現象」も,少なからず影を落としているものと考えられます。

 それでは次に平年降水量の比較です。

平年降水量
[mm]
チェンマイウドン
ターニー
バンコクチュンポンコタバル
1186.01425.91492.41982.22569.2

 「南高北低」の相関がきれいに出ています。 コタバルに至っては,11月の月間平年降水量が 657.7mm,年間では東京 (1405.3mm) の2倍近くの雨が降りますね。

 また,雨のピークが北部のチェンマイ,ウドンターニーが8月,中部のバンコクが9月,そして南部のチュンポンとコタバルが11月であることから,雨季のシーズンは北から南に次第に移っていることがよく判ります。

 では,最後に平年相対湿度を較べてみます。

平年相対湿度
[%]
チェンマイウドン
ターニー
バンコクチュンポンコタバル
7276788282

 やはり,北部の高台は暑い4月でも,湿度がかなり低い〜3月のチェンマイは54%〜ですねぇ。 年間の平年相対湿度などは,概ね降水量に比例しています。 しかし,タイはどの地点でも東京(平年相対湿度:64%)に較べると,湿度が高いのは事実ですね。

大活躍の
理科年表
 如何ですか? 「南国」「常夏の国」と思われている向きもあるタイですが,国土が大きいことや各地の地形が異なることから,北と南ではこれほどに気候が違うのです。  まぁ,日本から来て「住む」のであれば,気象データのみから判断すると,チェンマイでしょうか? でも,実際は人それぞれ,衣食住や教育・医療環境なども考慮する必要があるので,一概には言えないでしょうけどね。  このページがタイに興味ある方にとって,某かのお役にでも立てば幸甚です。


 前のページ同様,このページの気象データは,「理科年表」(国立天文台編,丸善株式会社発行)の平成9(1997)年版(第70冊)のものを使いました。