Cambodia Report 3.7

タ・プローム
−その1−

樹木に埋もれた境内の一部 この寺院の象徴的な風景

 アンコールワットから北東へ 3km ほどにある遺跡,タ・プロームに足を向けてみます。 この寺院は 1186年に当時の王ジャヤヴァルマン7世が, 母の菩提のために建立されたと言われています。 東西 1,000m,南北 600m ほどの広大な敷地にあり,建築様式はバイヨン様式と呼ばれるものです。

 ここは19世紀に発見されたままの姿で残されており,境内の至る所で樹木が建物に絡まっています。 1000年近くの歴史を物語る幻想的な風景です。  偉大なる王が造り上げた建造物をもってしても,大自然には力が及ばないことをマザマザと見せつけられる神秘的なこの遺跡をしばしご紹介しましょう。


境内東側に建てられている「聖火の祠堂」

この「聖火の祠堂」は東西の基軸上に建てられている。 当時の道標のような役割も担っていたようで,ジャヤヴァルマン7世の時代, 国内121か所に設置されたとのこと。


東門に残るリンテル(框石)

「リンテル」とはクメール建築にみられる特徴的な石刻。 一般的には出入口の上部に設置されており,和室に見られる欄間のような雰囲気。  このリンテルの大きさ〜特に縦方向の「高さ」〜や刻されている神様が,出入口の方角や寺院の建立意義を表している。


「仏陀の一生」を表したレリーフ

第四東塔門のもの。 上の方では大地の女神ブーミデーヴィーが髪の毛を絞っている姿が刻されている。



絡みついた樹木 なかなか凄いですねぇ
この遺跡の保存にあたり,フランス極東学院は,19世紀の発見当時の密林に埋もれた自然な姿で残すことを決めた。  大自然が人造の建築物を「呑み込む」姿が眼前に迫る。


崩壊のままの姿を晒す,境内東側の前柱殿北西部

あえて樹木の除去や建造物の積み直しなどの修復がなされていないので,崩壊が進んでいる様子がうかがえる。


 東側から境内に入って途中まで来ましたが,タ・プロームは 1220年以降のインドラヴァルマン2世の時代に拡張されていることと, 修復の手が入ってないため至る所が崩壊していることから,境内はまるで迷路のようです。 もう少し奥の方に入ってみましょうか。


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