China Report 4.10

河南省・龍門石窟
〜蓮花洞〜
 古陽洞、賓陽中洞と同じ北魏の時代に造られた蓮花洞は、龍門石窟西山の中央部より少し南側にあります。 北側から入って、あちこち観ながらブラブラ歩いていくと、 小一時間ほど経った頃に辿り着くところです。


蓮花洞の現地案内表示
 右の写真の蓮花洞の案内表示では、

 北魏時代の孝昌年間(525〜527年)に造られたもの。 洞内天頂部に大きな蓮の花が刻してあることが「蓮花洞」の名の由来。 正面には釈迦牟尼の立像があり、北側には長旅をしてきたと思しき錫杖を持つ迦叶(=迦葉)の像がある。  南側の壁の上の方には僅か 2cm ほどの小さな仏像が、多数彫られている。 これらは龍門石窟の仏像の中でも、最も小さな仏像である。

と解説されています。

 この洞は、すぐ脇に「伊闕」と刻された巨大な石看板のようなもの(本サイトの 龍門石窟〜序章その2〜の写真 参照)があるので、別名「伊闕洞」とも呼ばれているとのこと。 この「伊闕」の看板文字、明の時代に刻されたという説もあり、 いろいろ調べてみましたが、いつ彫られたのかは判りませんでした。


蓮花洞内部:正面に釈迦牟尼立像、左右に比丘像、頂部に蓮花と周りに飛天が刻されている

 蓮花洞は、高さ・幅とも約6m、奥行 10m弱の規模で、上の写真のとおり、この洞の主尊は釈迦牟尼立像で、高さ 5.1mです。 この像、誰が何(誰)のために造営したのかは、よく判りませんでした。 但し、この洞は北魏の時代に造営されたことが判っていますので、皇帝周辺の誰かが皇帝や皇后、または身内のために造営させたのではないか?と、個人的には考えますが・・・。


蓮花洞入口上部の紋様

 主尊の釈迦牟尼立像の右側(北側)の立像は、右手に錫杖を持ち胸を露出している姿であることから、仏教第二祖・釈迦十大弟子のひとり、迦葉(かしょう)の立像と推定されています。 この立像の頭部は、現在フランスの国立ギメ東洋美術館 (Musee Guimet) に保存されているとのことです。

 主尊の左側(南側)には、上部に小さな仏像が多数刻されてあり、これを具に見るには双眼鏡が必要でしょう。 その左側には胸の前で両手を合掌しているようなもう一人の比丘の姿が見られ、これは釈迦十大弟子のひとり、阿難(アーナンダ)の姿と推定されています。

 蓮花洞の名前の由来である洞内頂部の蓮の花の彫刻は、直径 3.6m。 蓮花の周りには飛天(仏教を題材にした画や石に刻まれた絵に見られる天に舞う神々)の姿が優美に刻まれています。


 蓮花洞は、一部では「蓮華洞」との表記をしている向きもあるようですが、ここでは、現地の案内表記に従い「蓮花洞」と表記しました。


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