Cambodia Report 4.5

アンコール・トム
−その2:バイヨン(上)−

東側から望むバイヨン

 アンコール・トムの中核を成すバイヨン東門に来ました。 クメール遺跡は,正面玄関である東から入るのが「正統派」です。

 このバイヨンは,前ページの南大門 同様,12世紀後半 (1180年頃から)にジャヤヴァルマン7世が大乗仏教の寺院として築き始めたものですが, 考古学者の調査によると,建造方法や使われた石材が一定していないことから,その後設計変更や増築が繰り返し行われて完成したものという説が有力です。

 この遺跡は地上から見ると恰も山の如く見えることから,古代インドの宇宙観による神々が住む山,メール山(須弥山)を象徴していると言われています。 規模は,外側の第1回廊が東西156m×南北141m,内側の第2回廊は東西80m×南北70m 程。  見所は結構あるので,数時間かけてユックリ鑑賞したいところです。 それでは中に足を進めてみましょう。


四方を見渡す菩薩像
南大門 にも見られた菩薩像。 この像は,この寺院の建立を始めたジャヤヴァルマン7世が信奉したローケーシュヴァラ (アヴァローキテーシュヴァラと表記する説もある)観音菩薩の像と言われている。


南経蔵
この南経蔵は,北経蔵とともに13世紀後半に増築されたもので,現在は日本のアンコール遺跡救済チームによって修復されている。


南から望むバイヨン
中央祠堂の高さは43m。 多くの観光客が,回廊のレリーフを鑑賞している。
境内には,37の菩薩像が刻されている塔が現存する。


回廊の内部(左)と 崩壊した「遺跡」らしい様子(右)
左は南側の第1回廊の内部。 長方形の幾何学が,スケールの大きさを象徴し,遠近感を醸し出している。
右は,他の遺跡同様,バイヨンの境内でも散見される「遺跡」らしい崩壊状況。 アンコールの遺跡群では至る所で修復作業が進められているが, あまりに「綺麗」に修復されるのも,歴史を感じさせないのでは?



境内南側第2回廊外側を西から望む
 実は,このバイヨンを見ている時は方向感覚が全く判らず,加えて予習も何もしてなかったものですから,今こうしてページに纏めるに当たって, どこに何があったか,様々な文献と写真を較べつつ四苦八苦して思い出しているってのが正直なところです(笑)。

 当時撮影した写真を眺めていると,バイヨンのレリーフには,アンコールワットバンテアイ・スレイ のものに,勝るとも劣らない素晴らしいものが存在することがわかります。

 陽も高くなって気温も上がり,歩くのも少しずつ苦になってきます。 こういう時は水は必携で,脱水症状にならないように汗をかいた分だけ水分を補給するのが鉄則です。

 それでは次のページで,バイヨンの特徴的なレリーフをご紹介することにしましょう。


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