Antenna for Digital TV - Part4

地上デジタルTVアンテナ
製作&設置奮戦リポート

〜その4〜
2011年5月 おもしろタイリポート編集部・テレビ受信グループ
 BSのパラボラアンテナから妨害電波が出ていると、勝手に推測してフィルターを作って対策しました。 再び屋根裏に設置するのですが、今度はウマく行きますかな?

【フィルターの調整】
 完成したフィルターが、地デジの電波を弱めるように調整する必要があります。 ちゃんとした測定装置を使って調整するに越したことはありませんが、ここでも、これだけのため数十万円もする測定装置を買うほどではありません。

作った4エレメントのアンテナと地デジテレビの間にフィルターを入れて、電波が弱くなるように調整

 自作した4エレメントのアンテナと地デジテレビの間に、製作したフィルターを入れて 563MHz の電波=地デジ・リモコン3番の NHK総合=を受信し、ここで調整することにしました。  フィルターの部品の一つのトリマ・コンデンサは、精密ドライバーでネジを回せば、コンデンサの容量を変えることができます。 今回製作したフィルターは、コンデンサの容量を変えると、弱める電波の周波数を変えることができるのです。  弱くしたい周波数の中心は 560MHz 付近なので、ネジを回して NHK総合の電波が一番弱くなるところが調整点というわけです。

 地デジ3チャンネルの電波の強さを見ながらトリマ・コンデンサを回してみると、おぉ〜!強くなったり弱くなったりしているではありませんか。 これは、トリマ・コンデンサを回すことで信号が弱くなる周波数が変わっており、 フィルターがちゃんと動作しているということです。 一番弱いところにトリマ・コンデンサをセットして、調整は終わり。 これを屋根裏でBSパラボラアンテナの出口に繋げば、万事解決するハズ! さ〜て、今度はウマく行きますかな・・・?


【フィルターを設置〜結果や如何に?】
 調整を済ませたフィルターと、作った4エレメントの地デジ用アンテナを再び屋根裏に持って上がります。 下の接続図のように、BSパラボラアンテナと分配器の間にフィルターを入れてみました。

BEFフィルター設置後のアンテナ結線図

 地デジアンテナも繋いで、テレビの映り具合を一通りチェックしてみます。 各チャンネルを見た限りでは、支障は無さそう。 定量的に評価するためにテレビのメニューを変えて、各チャンネルの受信レベルをチェックしてみました。

【テレビのBS電源ON/OFFの時の受信レベル(フィルター設置前後)】
リモコン
チャンネル
放送局名周波数
[MHz]
フィルター設置前
の受信レベル [dB]
=====>フィルター設置後
の受信レベル [dB]
BS電源
OFF
BS電源
ON(差)
BS電源
OFF
BS電源
ON(差)
KBC5818778 (▲ 9)8888 (±0)
NHK教育5275740 (▲17)4848 (±0)
NHK総合5639181 (▲10)9090 (±0)
RKB5758576 (▲ 9)8686 (±0)
FBS5878973 (▲16)9088 (▲2)
TVQ5519792 (▲ 5)9696 (±0)
TNC5998370 (▲13)9187 (▲4)

 おぉ〜、イイじゃないですか! テレビのBS電源を入れても、地デジの各チャンネルは殆どレベルが下がってません。 フィルターの効果がバッチリ出ています。  どうやら『BSのパラボラアンテナから地デジのテレビ付近の周波数で妨害電波が出ているもの』との勝手な仮定は、珍しく間違いではなかったようです(笑)。

 少しばかりレベルが下がっているチャンネルが2つありますが、この程度のレベル低下は全く問題ありません。 この2つは、7つのチャンネルのうちでも周波数が高い方(FBS=587MHz, TNC=599MHz)で、恐らく作ったフィルターが信号を弱める周波数の中心が、設計の 563MHz よりも少し低いところになったので、高い方の周波数への妨害を弱めることができなかったのだろうと推測しています。


【エピローグ】
 家電の店に行って地デジのアンテナを買い、アンテナの設置と接続を頼めば、何の苦労もなく手軽に地デジを見ることができました。 でも、地デジの電波が出ている福岡タワーが見える距離で、そっぽ向いたアンテナでもある程度地デジのテレビを見ることができる環境で、 数千円(設置工事を頼めばトータルで万超える?)出すのもバカらしいなぁ・・・と思って首を突っ込んでみたものです。 紆余曲折ありましたが、とりあえずは\1000程度(ケチ?)で、地デジ+BSを綺麗に見ることができるようになりました。

 ここでご紹介した方法のうち、サカナの骨のような地デジのアンテナは、地デジのテレビの電波が出ている送信所から比較的近いところや、直接見えるところにお住まいの方であれば、再現性が高いでしょう。 ここでは、結果的にサカナの骨が4本の4エレメントのアンテナにしましたが、 同じものを作っても地デジの電波の受信レベルが低いようであれば、最初に設計した骨が6本の6エレメントや、骨をもっと増やすアンテナにするといいでしょう。 6エレメントよりも骨を増やしたい場合は、一番短い骨と同じ寸法の骨を、「J」から遠い方向に一番広い間隔毎に並べれば、弱い電波が受信できるようになります。

 次のページ で一般的な地デジアンテナの設計方法について書いてみましたので、興味がある方はご高覧下さい。

 また、BEFフィルターは、BSと地デジのアンテナを途中から1本の同軸ケーブルにしてテレビに繋ぐ場合に有効と考えられます。

 地デジのアンテナも、BEFフィルターも、皆さんのお住まいのところで設計が変わるので、ご自分がどこの中継局の地デジの電波を受信しているのか、事前によく調査されて下さい。


 おかげさまで、編集部でBS・地デジともバッチリ受信できるようになり、編集部員からの不満も解消しました。 今回の「プロジェクト」遂行にあたって、ページ本文中にもリンクしましたが、非常に参考になった (*1):「Stay Tuned! De JR2BJE/1」のブログ 及び (*2):「ボクにもわかる地上デジタル」 の制作者とその内容をはじめ、貴重な助言を戴いた皆さまには、深く感謝します。

 本ページが、どこかでどなたかにでもお役に立てば幸甚です。 長文駄作をご高覧戴き有難うございました。(2011年5月記)